Meet the Maker: Alex Beggと紡ぐ、カシミアの物語
スコットランドの伝統と受け継がれてきた熟練の技を礎に、Alex Begg(アレックス・ベグ)は、150年以上にわたりラグジュアリーなカシミア製品を手がけてきました。スコットランドの中心に構えるミル(工房)で、世界最高峰の手仕上げカシミアを生み出しています。この歴史ある工房についてより深く知るため、職人たちにインタビューを行いました。
ローカルな素材を使用していますか?
私たちのカシミア製品はすべて、スコットランドで織られ、編まれています。
Alex BeggのカシミアはすべてグレードAに分類されます。このグレードは繊維の細さと長さによって決まり、繊維が細く長いほど、品質が高いとされています。
原料のカシミアはモンゴルのさまざまな地域から調達され、パートナー企業によって耐久性の高いカシミア糸に紡がれた後、当社の製品づくりに使用されます。
エア(Ayr)とホーイック(Hawick)の両方にミルをお持ちですが、これらの場所にあるのには理由があるのでしょうか?
私たちは、スコットランド西海岸のエアに位置するAlex Beggと、スコティッシュ・ボーダーズ地方のホーイックに位置するScott & Charters(スコット&チャーターズ)という2つのミルで、上質なニットウェアやアクセサリーを手がけています。どちらの町も、繊維産業に深く根ざした土地です。この2つのミルが一体となることで、世代を超えて磨かれてきた伝統とクラフトマンシップが見事に融合し、唯一無二のものづくりを実現しています。
私たちのミルがその場所にあるのは、決して偶然ではありません。カシミアの仕上げに欠かせない、天然のミネラルを豊富に含んだ柔らかなスコティッシュ・ウォーターの近くにミルは構えられています。この特別な自然の恵みこそが、私たちの製品一つひとつに、他にはない風合いと上質さをもたらしているのです。
Alex Beggにとってのクラフトマンシップとは?
私たちにとってクラフトマンシップとは、すべての工程において “完璧” を追い求める姿勢そのものです。高度な専門性を備え、厳格な基準のもとで訓練された職人チームが、一つひとつの作業に誇りを持ち、細部に至るまで徹底的にこだわってものづくりに取り組んでいます。
私たちは、最先端の技術やシステムへの投資を惜しまない一方で、製品に独自の風合いを与える伝統技法とのつながりも大切にしています。たとえば、シグネチャーである柔らかさを生み出すために、100年以上前の木製ミリングマシンを用いて織物を打ちほぐし、短繊維を引き出す工程は、今でも欠かせない重要なプロセスです。また、特別に栽培されたティーゼルの花穂を手作業で収穫し、スコティッシュ・ウォーターをひとふりして生地を優しくブラッシングすることで、自然な波状の風合いを生み出しています。
さらに、糸の保管には温度を厳密に管理し、仕上げには製品を紙で丁寧にプレスすることで、当社製品ならではの美しい光沢感を引き出しています。どんな小さな作業にも細心の注意を払い、一切の妥協なく仕上げる——それが私たちのものづくりの姿勢です。私たちにとってクラフトマンシップとは、伝統を受け継ぎながら、革新を恐れずに取り入れていくことなのです。
受け継いでいきたい技術や伝統はありますか?
1866年から続く長い歴史のもと、私たちの2つのミルでは、150年以上にわたる繊維の伝統と、世代を超えて受け継がれてきた専門知識が独自に融合されています。ひとつ屋根の下には、若手の見習い職人から勤続40年以上のベテランまで、多様な人材が集まっており、豊かな経験が息づいています。多くの職人たちは複数の技術を身につけながらも、特定の分野において高い専門性を発揮しており、まさに伝統を守りながら未来へとつなぐものづくりが行われているのです。